【植物分子・生理科学】
遺伝子制御
植物の開花や形を自在に操る魔法のスプレー開発に挑む
濱田隆宏先生
岡山理科大学
理学部 生物化学科(理学研究科 生物化学専攻)
植物が動物とは全く異なる生物(一番身近な宇宙人?)であることがわかる本。植物の能力について面白く紹介されており、植物の知らない一面を教えてくれるでしょう。
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植物の開花や形を自在に操る魔法のスプレー開発に挑む
開花や植物の形を司る因子「small RNA」
「花咲かじいさん」の昔話はご存知でしょう。私の研究が進展すると、霧吹きで水をスプレーしてあげると、花が咲いたり、植物の形が変わったり、もしかしたらそんな未来が来るかもしれません。この技術が得られれば、単に楽しいだけではなく、産業面でも持続可能な社会を実現する上でも、役に立つ技術になりそうです。
スプレーの中には「small RNA」という植物由来の制御因子を含む小胞が入っています。このsmall RNAによる遺伝子制御メカニズムは少し複雑ですが、2006年のノーベル生理学・医学賞の受賞対象です。
植物ではこのsmall RNAを使った細胞間コミュニケーションにより、開花のタイミングや植物そのものの形が制御されています。教科書的にはこのsmall RNAは細胞間に存在する小さなトンネルを経由してやり取りされますが、その詳細なメカニズムは不明です。
植物でも実証
私はこのトンネルに興味を持って研究をしていましたが、この数年で動物細胞でsmall RNAが小胞に包まれてコミュニケーションに働くという、全く異なるメカニズムが知られるようになりました。そこで植物でも同じメカニズムが存在するのではないかと思い、試しに実験を行うとポジティブな結果が得られ、植物も小胞を使ってsmall RNAを運べることがわかりました。
この小胞をスプレーに混ぜて使えるようにするためには、ながーい道のりが必要ですが、その可能性はゼロではありません。
スーパーに行けば、年中、同じように新鮮な野菜や果物が手に入りますが、それらの大半は温室栽培されていたり、遠い外国から運ばれてくるものです。とても不思議なことですが、水と太陽と土があれば育つはずの野菜を得るために、私たちは多くの石油や石炭、電気を使っています。植物の開花時期や成長スピードを調整できる魔法の水があれば、それらのエネルギーを節約することができそうです。
塚谷裕一
東京大学 理学部 生物学科/理学研究科 生物科学専攻
【葉っぱの発生】面白いことをやり続けて、それが仕事になったような感じがする先生です。様々な方面の知識があり、それを純粋に楽しく語っていただけます。
深城英弘
神戸大学 理学部 生物学科/理学研究科 生物学専攻
【根っこの発生】とてもわかりやすい遺伝学を行っています。手本にしたいと思っていますが、できません。柔らかい語り口が特徴。これも真似できないです。
松永幸大
東京大学大学院 新領域創成科学研究科
【植物のクロマチン研究】すごくエネルギッシュな先生であり、そのエネルギーに圧倒されます。この先生くらいアクティブに動きたいと思いますが、やはり真似できません。
研究の合間にお花見やBBQ、ラボ合宿などに行きます。
森を食べる植物 腐生植物の知られざる世界
塚谷裕一(岩波書店)
植物ヲタクの完成形(褒め言葉)である塚谷先生の本。私のような何事にもハマる人間にはとても面白いです。本文100ページ以降に腐生植物の探し方が載っており、読めば誰でも探せそうですが、たぶんそんなに簡単ではありません(笑)。
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