【応用分子細胞生物学】
微生物
微生物が作る、もっと小さい微粒子の機能を探る!
田代陽介先生
静岡大学
工学部 化学バイオ工学科(総合科学技術研究科 工学専攻)
細菌が世界を支配する バクテリアは敵か?味方か?
アン・マクズラック、訳:西田美緒子(白揚社)
細菌は人間よりもはるか昔から地球に存在し、地球上には人間の総重量の約千倍も存在します。私たちにとって決して無視できない存在です。
伝染病に苦しめられてきた背景から、細菌と言えば病原体のイメージが強いかもしれません。しかし人間は古くから微生物を食品発酵などに利用し、産業の発展に大きく貢献してきました。
細菌がいろいろな場面で私たち人間の生活に関わっていることがわかる一冊です。細菌は私たちの敵か、味方か…この本を手に取って読んでみよう!
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微生物が作る、もっと小さい微粒子の機能を探る!
細菌の微粒子はヒトの健康をコントロール
乳酸菌や納豆菌、大腸菌などの「細菌」は微生物の仲間で、大きさは1 - 5 μm(1 μmは 1 mm の1000分の1)程度です。わたしたちの体に細菌は100兆ほど存在しており、その数は構成するヒト細胞のなんと10倍です。細菌は、口の中や腸内、皮膚などに生息しています。
細菌には善玉菌と悪玉菌が存在し、人の健康維持や病気に大きく関わることはよく知られていますが、細菌たちが作る100 nm(1mm の1万分の1)ほどの微粒子が免疫や疾患などに重要な役割を果たすことが近頃わかってきました。私たちはそのような微粒子がどのように作られ、どのように感染や人の健康に影響するのか、その解明を目指しています。
細菌を微粒子の製造装置として利用する!
上記の内容を聞くと、なぜ工学部?と思うかもしれません。私たちは、細菌を製造装置として利用して、機能性の高い微粒子を作り出すことにも挑戦しています。
細菌は約40億年かけて進化しており、様々な化学反応を行う精密デバイスと捉えることができます。その小さなデバイスの中には謎がまだたくさん潜んでいますが、その生命現象の謎を一つ一つ紐解くことで、その仕組みがだんだんわかってきています。
わたしたちは、細菌の遺伝子を改変することで、機械では作ることが難しい複雑な構造をした微粒子を作らせています。例えば、病原体に類似した微粒子を善玉菌に作らせることで、感染症に対するワクチンへの展開が期待できます。
細菌を光らせて、蛍光顕微鏡で観察しています。
◆テーマとこう出会った
学部時代に「微生物が化合物をやりとりして会話している」と聞いて興味を持ち、微生物学の世界に入りました。実験をしている中で、ある微生物が微粒子を放出していることを発見し、なぜだろうと不思議に思ったのがこの研究を始めたきっかけです。
元々は農学部出身で、生物の生命現象の謎を紐解くことに興味を持っていましたが、今は工学部に所属して、微生物のユニークな特徴を活かした新たなものづくりにも興味を持って研究しています。
◆出身高校
東邦大学付属東邦高等学校
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「7.生物・バイオ」の「21.分子生物学・細胞生物学・発生生物学、生化学(生理・行動・構造等 基礎生物学も含む)」
二又・田代研究室の集合写真(田代先生が撮影)
静岡大学工学部化学バイオ工学科では、「化学」をベースとして、環境に良いものづくりや、化学システムの開発のほか、化学技術と生物工学を融合させた「生物からのものづくり技術」を学ぶことができます。
あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた
アランナ・コリン、訳:矢野真千子(河出書房新社)
タイトル通り、私たちの体には、人間の細胞よりも細菌の方がはるかに多いのです!細菌がどんな働きをしているか、詳しく説明している一冊です。
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Q1.大学時代の部活・サークルは?
サッカー同好会。大学院時代は、よくフットサルをしていました。
Q2.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?
新聞の訪問勧誘。いろいろなお宅に訪問していました。