【統計科学】
栽培管理
データサイエンスで農業を変える
統計データの活用で、より収穫に適した栽培環境に
松井秀俊先生
滋賀大学
データサイエンス学部 データサイエンス学科(データサイエンス研究科 データサイエンス専攻)
統計学が最強の学問である
西内啓(ダイヤモンド社)
日本での統計学・データサイエンスの知名度を大きく上げるきっかけとなった本だと思います。統計学がどのような場面で使われているのか、なぜ統計学が必要なのかといった内容を、いろいろな事例を通して紹介しています。
Web上で漫画化もされていて、ストーリー仕立てでその事例を知ることができます。今後、統計学はより広く一般的に定着していく知識になる可能性があります。そのためにも、統計学を学ぶモチベーションを、この本を通して高めてもらえたらと思います。
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統計データの活用で、より収穫に適した栽培環境に
農家のビニールハウス栽培を支援
現在、多くの分野、多くの場面でデータが計測されるようになっています。最近では農場でも、コンピュータを利用して、栽培時の気温や、収穫量のデータがリアルタイムで計測できるようになってきています。
私は、農家のビニールハウスで栽培されている作物の収穫量と、そこでの気温や日射量といった栽培環境に関するデータとの関係を、統計モデルという数式を使って分析する研究をしています。
紙とペンの統計モデルをもとに収穫量を予測
作物の収穫量は様々な要因が複雑に絡み合っているため、その関係性をうまく表現するための統計モデルを作る必要があります。このプロセスは高性能なコンピュータを使っている訳ではなく、実は紙とペンを使って考えます。
統計モデルができれば、コンピュータを使ってデータからモデルを推定していきます。このモデルを使って、目標とする作物の収穫量に併せた日射量や与える肥料の量の調節を行ったり、将来の収穫量の予測を行ったりできるようになることを目指しています。
データサイエンスを現場で活用したい
いま、データサイエンスという分野が注目を集めています。現在は様々な所でデータが取得されているにもかかわらず、それを活かしきれていない現場が多くあります。
農業の分野もその1つです。私は、農作物のデータ分析を通して、農業とデータサイエンスの融合を進めていきたいと考えています。
大学1年生に数学の講義をしています
私の研究の目標は「最適な収穫量・品質となるような栽培環境を提案する」ことです。私の研究は単に収穫量の予測を行うというだけではなく、例えば「ビニールハウスの温度をどのくらいに制御すれば、収穫量がこの程度になる」という関係を明らかにすることを目標としています。
これが精度よく行えるようになれば、農作物の不作をできるだけ抑えられるようになり、食糧不足と言った問題の解消の一助になるのではないかと考えています。
◆先生が心がけていることは?
統計学やデータサイエンスの重要性・必要性を広く伝えるために、できるだけ具体的な事例を踏まえて、わかりやすい説明を心がけています。これを活かして、学内・学外問わず、いろいろな場所で講義を行ったり、本の執筆等をしています。
◆テーマとこう出会った
私は大学では理学部数学科で勉強していました。そこで受講した統計学の講義で、統計学が薬の開発に用いられていることを知り、「統計学ってこんなに世の中で役に立っているのか」と感銘を受けたのが、統計学を専攻したきっかけです。
一方で、植物の研究を行うきっかけになったのは、植物研究者の方と知り合ったことです。それまでは植物学や農学についての知識がほとんどなかったのですが、その方と議論を重ねる中で、農学の分野でも統計学・データサイエンスの必要性を感じました。そしてその最中に、ちょうど収穫量のデータを保有している農家を紹介していただき、この研究を始めるようになりました。
◆大学時代は
数学の勉強を頑張りました。高校のときは数学が得意だと思っていたのですが、大学で学ぶ数学は高校までのものとは根本から異なる難解なものに見え、衝撃を受けました。講義で置いて行かれないように必死で勉強したことを覚えています。その時の積み重ねが現在につながっているのかなと思います。
◆出身高校は?
山口県立光高校
セミナーで研究内容を学生や他の研究者に紹
データサイエンス学部は、データサイエンスを専門とする学部として日本で初めて設立された学部です。教員の専門はほとんどが統計学または情報学であり、学部ではこれらの知識を用いて、データから価値のある情報を抽出するための教育をしています。
より具体的には、情報学の知識を用いて計算機でデータを処理し、統計学の知識を用いてデータを分析し、その結果を元にして、問題解決や利益に繋げていきます。
入門 統計学はこんなに役立つ
野口哲典(宝島社新書)
高校の教科書に掲載されている場合の数や確率、統計の内容では、統計学がどのような役に立っているのかイメージが沸かない人も多いのではないでしょうか。この本は、過去、現在と、統計学がどのように使われ、そして役に立っているかを紹介しています。
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3月のライオン
羽海野チカ(ヤングアニマルコミックス)
将棋の棋士に焦点を当ててその人間模様を深く描いた作品で、ご存知の方も多いのではと思います。彼らの将棋への思いや葛藤は研究者にも通じていて、強く共感した場面が多かったという印象があります。
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Q1.一番聴いている音楽アーティストは?
かつては、BUMP OF CHICKENをよく聞いていました。『車輪の唄』がお気に入りでした。
Q2.感動した映画は?印象に残っている映画は?
『ALWAYS 3丁目の夕日』シリーズは感動しましたね。
Q3.大学時代の部活・サークルは?
熱心な帰宅部でした。
Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?
大学院のとき、非常勤講師として統計学を教えていました。
Q5.研究以外で楽しいことは?
気分転換に琵琶湖のほとりをドライブでしょうか。