若手研究が世界を変える!

【情報セキュリティ】

オペレーティングシステム

安全で強靱なOSを目指して

攻撃を無効化してしまうソフト開発に挑む

山内利宏先生

 

岡山大学

工学部 情報系学科(自然科学研究科 電子情報システム工学専攻/産業創成工学専攻)

 

 先生のフィールドはこの本から

サイバー戦争の今

山田 敏弘(ベスト新書)

サイバー空間におけるサイバー攻撃の一端が述べられています。サイバーセキュリティや情報セキュリティに興味を持ってもらうきっかけになれば。

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 世界を変える研究はこれ!

攻撃を無効化してしまうソフト開発に挑む

普及しつつあるIoT機器、侵入や攻撃が多発

現代では、いろいろなものにコンピュータが組み込まれています。また、コンピュータが組み込まれた身の回りのいろいろな機器がインターネットに接続され、IoT(Internet of Things/モノのインターネット)システムが形成され、これからどんどん普及し進化していくと考えられています。

 

しかし、その発達の一方で、IoT機器に侵入して悪用する攻撃が多発しています。私はこの状況をなんとかしたいと思い、IoT機器のセキュリティの研究に着手することに決めました。

 

学生時代からOSに興味

 

もともとは学生時代に、コンピュータはどうやって動作しているのかに興味がありました。特に、コンピュータのハードウェアを制御してアプリケーションの実行を制御するオペレーティングシステム(OS)への興味が強かったです。

 

OSを介してコンピュータ上の処理は動くので、新しいOSの機能を開発することで、新しいコンピュータを実現することも夢ではありません。

 

バグや脆弱性があっても大丈夫なように

 

今は、OSやアプリケーションにバグがあっても攻撃者に悪用されないコンピュータの実現を目指して、OSを中心としたシステムソフトウェアの研究に取り組んでいます。

 

ソフトウェアはどんなに注意して開発しても、バグやセキュリティ上の欠陥である脆弱性が残ってしまいます。そこで、脆弱性を攻撃者に悪用されても攻撃を無効化することや、自由にコンピュータを操作させない技術について研究しています。

 

研究を通して、安心して利用できるIoT環境の実現を目指しています。

 

研究室の学生、およびセキュリティ勉強会参加者の一部と、情報処理学会コンピュータセキュリティシンポジウム@ハウステンボスで開催されたMWS Cup 2019に参加したときの様子。セキュリティのコンテストなど開催されていますので、研究室の学生が中心となり、参加しています。

 

 SDGsに貢献! 〜2030年の地球のために

産業などの基盤として、ITシステムが必須なものになっています。しかし、セキュリティの問題、情報漏えいなどによって大きな被害をこうむる企業や個人が多く存在しています。持続的に産業を発展させ、人々が幸せな生活を送るためのインフラとして、安心で安全な情報インフラの実現にセキュリティの面で貢献します。

 


 きっかけ&学生時代

◆テーマとこう出会った

 

コンピュータでプログラムが動く仕組み(原理)を勉強したいと思い始めて、オペレーティングシステム(OS)に興味を持ち、大学の研究でプログラム実行制御について研究しました。OSはすべてのアプリケーションを制御するので、OSで機能を実現できれば、すべてのアプリケーションに適用できます。

 

最近はセキュリティ上の問題が深刻になっており、OSを中心としたシステムソフトウェアのレベルで、根本的にセキュリティの問題を解決するような提案ができないかと思い、セキュリティ技術の研究に取り組んでいます。IoT機器は通常のIT機器に比べて長く利用されることが想定されているため、長く安心して利用できるように貢献したいと考えています。

 

◆大学・大学院時代は

 

研究室で研究に打ち込み、また学会での発表に積極的に行きました。研究室での研究も良いですが、同じ分野の先生方や学生の皆さんと議論したり意見交換することで、知識の面だけでなく、考え方や取り組み方など、大きな刺激を受けました。

 

◆出身高校は?

 

福岡県立修猷館高校

 

 先生の分野を学ぶには

「情報セキュリティ」学べる大学・研究者はこちら(※みらいぶっくへ)

 

その領域カテゴリーはこちら↓

13.IT・AI」の「49.通信、ネットワーク/IoT、セキュリティ系」

 


 山内先生の研究・研究室を見てみよう

山内研究室HP

 

情報セキュリティを学べる大学3選【2020年版】(THE 世界大学ランキング 日本版)

 

セキュリティ勉強会を、研究室の学生と一緒に、学部生向けに開催したときの様子。学部の間は、座学が中心で、実際のセキュリティの課題やデータなどを触る機会がないので、より実践的なセキュリティ課題を経験できるように勉強会を開催しています。この写真は、MWS Cup2019に参加した後に開催した報告会の時の様子です。

 

 先生の学部・学科で学ぼう

岡山大学工学部情報系学科は、計算機科学(コンピュータサイエンス)について、ハードウェア、基盤ソフトウェアであるOS、コンパイラ、プログラミング、ソフトウェア工学など、コンピュータのベースとなる知識を講義、演習、及び実験を通して体系的に学べることが特徴です。

 

最近は情報処理の応用面に特化した学科が多い印象がありますが、本学科ではコンピュータの動作原理から応用まで学べるという特長があります。

 

*2021年4月から工学部情報系学科は、工学部情報・電気・数理データサイエンス系情報工学コースに改組予定です。

 

 中高生におススメ

論理トレーニング101題

野矢茂樹(産業図書)

論理的な思考は、理系の研究をする上で大事ですので、一度読んでみることをお勧めします。

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情報セキュリティ10大脅威 2020

IPA(情報処理推進機構)

毎年、情報セキュリティの脅威について、順位を発表されています。身近にどのような脅威があるのか、なぜそのような脅威が生じているのか、脅威にどのような対策をすればよいのかなど、セキュリティについて考えるきっかけや、コンピュータの仕組みに興味を持つきっかけになればと思います。

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