【生物物理、化学物理、ソフトマターの物理】
生物物理学
細胞にも物質輸送があるなら、物理学で解明しよう!
林久美子先生
東北大学
工学部 電気情報物理工学科(工学研究科 応用物理学専攻)
シグマフォース シリーズ
ジェームズ・ロリンズ(竹書房)
<シグマフォース>のメンバーは、特殊部隊の身体能力と物理学、考古学、工学、化学、生物学の天才的な頭脳を併せ持つ存在で、敵を殺す訓練を受けた科学者です。様々な悪の科学集団と戦います。
主人公のグレイは生物物理学者です。『ウバールの悪魔』『ロマの血脈』は物理、『ユダの覚醒』『スミソニアンの王冠』は生物などなど、様々な分野の最先端研究をスリリングなストーリーで楽しめます。
[amazonへ]
物理学を生物に応用、生物物理学とは?
元々は物理学で輸送現象を研究
私は学生の頃、考えれば解くことができる物理学が好きで、電流(電子の移動)や熱伝導(熱の移動)などの輸送現象の物理を学んでいました。覚えることが多すぎて生物学なんて全然好きではなかったのですが、そんなある時、友達の生物学者が、「物質輸送って細胞の中にもあるじゃない」と教えてくれました。
物理学で神経細胞を、さらには病気を調べたい
生きるために、エネルギーや栄養は細胞の隅々に輸送されています。
例えば、私たちの体と脳を結ぶ1メートルもある運動神経の中では、神経伝達物質が輸送されています。アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSなどの神経疾患では物質輸送障害が出てしまいます。
細胞の中ではどういうメカニズムで物質が輸送されているんだろうと考え、私は物理学を利用して細胞の中の輸送現象を調べることをヒラメキました。生物物理学=生物を対象とした物理学です。とても新しいでしょう。
神経細胞を調べれば、医学の解明にも役立つと思っています。物理学を用いた解析をAI(人工知能)で自動化して、たくさんの病気を調べたいですね。
科目の境界にこそ最先端研究が生まれる
高校生のみなさんにとって物理、化学、生物など科目ははっきり分かれていますよね。
研究の現場では意外に思われるかもしれませんが、科目の境界が曖昧です。生物なのに物理を必要としたり、生物実験には化学が必要だったり、医学は工学を必要としていたり。研究では科目の境界に最先端研究があることが多いのです。
将来何を学ぶか迷っている人は、ぜひ複数科目の境界に興味を持ってみてください。
7 seeds
田村由美(小学館)
巨大隕石の衝突で人類滅亡を防ぐための政府プロジェクト 7seeds。それは若く健康な人間を選んで冷凍保存し、未来に自動解凍を行い放出するというものです。文明が滅びた後の地球で目覚めた皆さんと同じくらいの年齢の40人が、壮絶なサバイバル生活を乗り越え、愛・友情・希望を見つけて成長していく物語です。医学、生物学、動植物学、建築学、音楽って学んでおくと便利だな、学問って生きるために大事なんだなあ。
[amazonへ]
ぼくの地球を守って
日渡早紀(白泉社文庫)
現代日本に転生した異星人としての前世の記憶を持つ男女7人の高校生が繰り広げるトレンディドラマ。前世の故郷シア星系は戦争で滅亡しており、戦争と自然破壊もテーマになっています。シア星系は、動植物と交感する巫女キチェ=サージャリアンによって自然破壊から自然保護に方向転換した歴史があり、主人公の前世はこのキチェ=サージャリアンでした。前世で彼らは生物学者、考古学者、エンジニア、医者、言語学者として地球を調べていました。モクレンに憧れて生物学者に、シオンに憧れてエンジニアに、なりたいって思いますか。
[amazonへ]