【日本語教育】

バイリンガル教育

外国にルーツのある子どもが、日本語も母語も伸ばせるバイリンガル教育

落合知子先生

 

神戸大学

国際人間科学部 GSPオフィス

 

 出会いの一冊

その名にちなんで

ジュンパ・ラヒリ、訳:小川高義(新潮文庫)

インドにルーツを持つ青年がアメリカで育つ家庭のドラマです。一時はアメリカ人になりきったり、インド文化に回帰したりと、揺れながら自分自身をつかんでいく物語。二つの文化を媒介するバイカルチュア青年の持つポテンシャルを感じさせる物語です。

 


 こんな研究で世界を変えよう!

外国にルーツのある子どもが、日本語も母語も伸ばせるバイリンガル教育

同化圧力の強い日本で、母語や母文化を学べるか

外国にルーツを持つ子どもたちは、現在たくさん日本の学校で学んでいます。これを読んでいるあなたもそうかもしれません。

 

一般的に、日本の小中学校の教室は同化圧力が強いといわれています。そこでは、「外国にルーツを持つ」という個性を発揮したり、故郷の言葉を習い育むことが難しいこともあります。日本の小中学校の空間がどんなだったら、外国にルーツを持つ子どもたちは個性を発揮し、母語や母文化を学ぶことができるでしょうか。

 

バイリンガルに「ライフヒストリー」を語ってもらう

 

私は、外国にルーツを持つ子どもたちの教育、そしてその子どもたちを取り巻く日本の子どもたちの教育や、教室全体のあり方に影響を与えている教育方法を研究しています。

 

また、日本で生まれ育ちながら、日本語も母語も堪能なバイリンガルに成長した外国にルーツを持つ青年たちに、その「ライフヒストリー」を語ってもらい、分析することを通じて、彼らがバイリンガルになるには何が必要だったのかを探っています。

 

個性である母語能力を武器に

 

外国にルーツを持つ子どもたちが、その個性である母語能力を伸ばし、自分や社会のために活かせる環境づくりを研究することは、日本の学校空間の同化圧力を減じ、「他とは異なる個性を持つ子どもたち」が生きやすい学校空間を作り出すことにつながります。

 

私の研究は外国にルーツを持つ子どもたちに焦点を当てながら、すべての子どもたちが「他人とは違う個性」を尊重し、育み、将来の武器にできるような、学校のあり方を考えることにつながっていると信じています。

 

「下町芸術大学」講師として<新長田の多文化化の歴史と子どもたちの教育>について語る
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 SDGsに貢献! 〜2030年の地球のために

マイノリティ(少数者)の教育保障。

 


◆先生が心がけていることは?

 

フェアトレード製品の購入、マイノリティ生徒・学生の教育支援。

 

 先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「グローバルネットワークによる日本語・継承語の加算的バイリンガル育成に関する研究」

詳しくはこちら

 

 注目の研究者や研究の大学へ行こう!

乾美紀

兵庫県立大学 環境人間学部 環境人間学科/環境人間学研究科 環境人間学専攻

【外国人生徒の高校進学問題】テーマへの追いかけ力が素晴らしいと思います。

乾研究室ホームページ

 


 どこで学べる?

「日本語教育」学べる大学・研究者はこちら(※みらいぶっくへ)

 

その領域カテゴリーはこちら↓

20.文化・文学・歴史・哲学」の「82.文学、美学・美術史・芸術論、外国語学」

 


 もっと先生の研究・研究室を見てみよう
ベトナム系児童の演じるベトナム獅子舞(ムアラン)とそれを見守る同級生
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 先生の学部・学科は?

神戸大学国際人間科学部は政治学、人類学、社会学、音楽、スポーツ、芸術、自然環境、社会環境、教員養成と、広い分野の学問が学べます。そこでは海外研修とフィールド学修に参加するグローバル・スタディーズ・プログラムが必修で組まれており、自分のテーマを海外の事例と比較し、現場での学びからより深く考察することができるようになっています。

 

 中高生におすすめ ~世界は広いし学びは深い

パラレル・ワールド

深沢正雪(潮出版社)

群馬県大泉町のブラジル人コミュニティに、ブラジル留学経験がある日本人青年が「日系人」として参加。在日ブラジル人たちと日本社会の間で見えている景色の違いを、鮮やかに描き出す作品です。



家(チベ)の歴史を書く

朴沙羅(筑摩書房)

在日コリアン3世の著者が、戦中戦後、韓国の済州島と日本の間を行き来した人々の声を親族の話から拾い、彼らがどんな思いを抱えて海を渡り、在日コリアンコミュニティが出来ていったのか、生の声に触れることができる作品です。



Masato

岩城けい(集英社文庫)

父の仕事で、オーストラリアで育つことになる少年、真人(Masato)が、日本とオーストラリアの間で揺れながらアイデンティティを形成していく物語です。

 


 先生に一問一答

Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 

ケニア。青年海外協力隊員として2年暮らした経験があり、馴染みがあります。言葉にも困りません。

 

Q2.感動した映画は?印象に残っている映画は?

『アクト・オブ・キリング』、『セデック・パレ』、『パラサイト』

 

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

 モロッコで大道芸人。

 

Q4.研究以外で楽しいことは?

競技かるた(2段B級です)

 

Q5.会ってみたい有名人は?

せやろがいおじさん