【日本史】

忍者

情報探索者にしてガードマン!忍者「伊賀者」とは

高尾善希先生

 

三重大学

人文学部 文化学科(人文社会科学研究科 地域文化論専攻/三重大学国際忍者研究センター)

 

 出会いの一冊

忍者の歴史

山田雄司(角川選書)

忍者という研究テーマは、今まで本格的な研究分野として扱われてはいませんでした。「研究書のようなもの」があったとしても、史料的な検討を経ていなかったり、史料が発掘されていなかったりしていました。本書は、史料にもとづいてしっかり研究された、初めての忍者についての概説書です。忍者が研究するに値するテーマなのだということが理解できると思いますし、歴史学の多様な可能性を感じさせてくれると思います。

 


 こんな研究で世界を変えよう!

情報探索者にしてガードマン!忍者「伊賀者」とは

徳川幕府の下級武士

私の研究は「徳川幕府御家人伊賀者の制度史的研究―関係史資料収集とその総合的把握」です。難しそうに聞こえますが、要するに、徳川幕府に仕えた伊賀者という下級武士の史料を集めましょう、というものです。「伊賀者」というのは、そう、あの忍者の伊賀者です。

 

忍者といえば、皆さんは漫画・アニメの『忍たま乱太郎』(尼子騒兵衛作)をイメージするかもしれませんけれども、私にとっての忍者の研究というのは、下級武士の研究なのです。

 

実は、忍者=将軍のガードマン要員

 

忍者は、一言でいえば、「忍び」という特殊任務についている足軽(下級武士)です。「忍び」とは、非戦争時に情報探索をしたり、戦争時に敵情偵察をしたり奇襲をしたりなどすることです。戦争時には重要な人びとでした。

 

とはいえ、皆さんご存じのように、徳川幕府が治めた日本は、平和な世の中でした。それでも幕府が伊賀者を召し抱えた理由は、平和な時代の情報探索に使ったということ、将軍のガードマン要員として使ったということなどです。徳川時代の伊賀者は、ほとんどがガードマンの下級サラリーマンでした。

 

伊賀者を探れば大奥の事情もわかる

 

しかし、彼らはただびとでなく、とてもユニークです。というのは、戦国時代とかわらず情報探索に従事し、江戸城大奥というトップ・シークレットの政治中枢部のガードマンをしていたからです。大奥は、その性格上、史料が少ないのですが、伊賀者を探れば、大奥の一部も垣間見ることもできます。

 

徳川幕府伊賀者松下家文書。勤務地であった江戸城の内部の様子がよくわかる。
徳川幕府伊賀者松下家文書。勤務地であった江戸城の内部の様子がよくわかる。
 先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「徳川幕府御家人伊賀者の制度史的研究―関係史資料収集とその総合的把握―」

詳しくはこちら

 

 どこで学べる?

「日本史」学べる大学・研究者はこちら(※みらいぶっくへ)

 

その領域カテゴリーはこちら↓

20.文化・文学・歴史・哲学」の「83.史学、考古学」

 


 先生のゼミでは

◆ゼミで最初に学ぶこと

 

諸藩(各大名家)における伊賀者の史料を講読しています。くずし字を読めないといけないので、まずその読解能力をつけることから始めます。

  

藤堂藩伊賀者木津家文書。伊賀国における伊賀者の史料。忍術を学ぶときに取り交わした師弟の間での誓約書。忍術を勉強していたことがわかる。
藤堂藩伊賀者木津家文書。伊賀国における伊賀者の史料。忍術を学ぶときに取り交わした師弟の間での誓約書。忍術を勉強していたことがわかる。
 もっと先生の研究・研究室を見てみよう
三重県伊賀市で行われた忍者・忍術学講座(2018年度)の講義風景。
三重県伊賀市で行われた忍者・忍術学講座(2018年度)の講義風景。
 中高生におすすめ ~世界は広いし学びは深い

ひとりずもう(漫画)

さくらももこ(集英社)

私は、普段漫画を読む習慣がないのですが、さくらももこさん逝去の報に接し、読んでみました。青春時代、誰しも進路の選択に悩むものです。なぜさくらさんが漫画家を目指したのか、その考え方や心情に接してもらえればと思います。文章版もあるのですが、漫画家さんですので、漫画版をおすすめします。



北の海

井上靖(新潮文庫)

『しろばんば』、『夏草冬濤』、『北の海』が井上靖の自伝小説の三部作です。青春期の『北の海』を挙げました。部活に熱中する生徒さんには、共感することができる作品です。のびのびとした文章に魅了されました。三部作、すべて読んでみてください。大人になってこれを読み返すという楽しみがあり、二度おいしいのではないかと思います。



日本論の視座 列島の社会と国家

網野善彦(小学館)

当たり前を疑うということが、学問の醍醐味の一つです。それを日本史分野で味わうことができる一冊です。網野先生の著書はたくさんあります。啓蒙書の類であれば、この本以外でも構いません。ぜひ、一冊は読んでみてください。

 


 先生に一問一答

Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?

日本史。何度生まれてきても日本史であろう。しかし、もし何度目かに生まれてきた時に絵がうまかったならば、浮気して、アニメーターになるかもしれない。

 

Q2.感動した映画は?印象に残っている映画は?

アレクサンドル・ソクーロフ監督の『太陽』

 

Q3.大学時代の部活・サークルは?

古文書研究会

 

Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

史料調査のバイト

 

Q5.研究以外で楽しいことは?

眠ること。音をかけながら眠ると、その音の内容が夢の内容に影響を与えます。