【マルチメディア・データベース】

スマートグリッド

電気自動車をバッテリーとして、新たな電力網を作る

富井尚志先生

 

横浜国立大学

理工学部 数物・電子情報系学科(環境情報学府 情報環境専攻)

 

 出会いの一冊

痛快!コンピュータ学

坂村健(集英社文庫)

コンピュータの仕組みや、開発の歴史が面白おかしく語られています。

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 こんな研究で世界を変えよう!

電気自動車をバッテリーとして、新たな電力網を作る

スマートフォンの行動データを利用

皆さんは日常的にセンサーを持ち歩いていることをご存知ですか。スマートフォンにはGPS(Global Positioning System)や加速度センサーなどが内蔵されています。ですから、日常的な行動データを取り込むことができるのです。情報技術をうまく用いれば、そんなデータを役立てられるかもしれません。

 

余っている場所から足りない場所へEVが電力を運ぶ

 

近年、太陽光発電や風力発電などの「再生可能エネルギー」が注目を集めてきました。しかし、天気の影響を受けるために不安定で、人間の社会生活に合わせて発電してくれません。

 

「スマートグリッド」(賢い電力網)は、このような状況を解決する有用な方法です。そして、電気自動車(EV)が、夜から昼へ、余っている場所から不足している場所へ、電力を運ぶ移動するバッテリーになる、という可能性があります。

 

車の走行データから、EVのバッテリーを推計

 

我々の取り組む研究では、EVを小規模なスマートグリッドの要素とみなします。そして、再生可能エネルギーを最大限活用しつつ、電力需要も安定化させることを試みています。

 

そのために、自動車の日常的な動きを、スマートフォンを使って記録しました。そのデータから、仮想的にEVに置き換えたときのエネルギー消費とバッテリー状態を計算します。

 

これらの大量のデータを一つのデータベースに統合し、いろいろな組み合わせで検索できるようにしました。たくさんのEVがスマートグリッドに貢献する、そんな将来がちょっとだけ見えてきました。

 

研究室でデータ分析をしています。背後に見えるコンピューター(データベースサーバ群)の電源はEVから給電されています。
研究室でデータ分析をしています。背後に見えるコンピューター(データベースサーバ群)の電源はEVから給電されています。
 SDGsに貢献! 〜2030年の地球のために

EVを移動するバッテリーとして取り扱うことによって、再生可能エネルギーを有効に活用し、また、CO2排出量をできるだけ抑えることに役立てられそうです。

 

しかし、適した対策は地域や場所ごとに異なります。実際にセンサーを用いて実データを集め「そこだけ」に適した対策方法を示すことに、情報技術が貢献できそうです。

 


 先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「サイバーフィジカルシステムを基盤としたスマートグリッドのための情報管理技術」

詳しくはこちら

 

 注目の研究者や研究の大学へ行こう!

Sergey Brin, Lawrence Page

(元)スタンフォード大学、Google創業者

【Page Rank(webサーチエンジンの基礎となるアルゴリズム)を提案、事業化】Google社の創造性。データを集めることの重要さに気づき、実践したことが画期的である。

Sergey先生のページ


Samuel Madden

マサチューセッツ工科大学

【センサーネットワーク】データ収集のために「バッテリー」を長持ちさせる必要があるという新しい概念を提案した。コンピュータ技術に「省電力」が必要であることを示した。

Madden先生のページ

 


 どこで学べる?

「マルチメディア・データベース」学べる大学・研究者はこちら(※みらいぶっくへ)

 

その領域カテゴリーはこちら↓

13.IT・AI」の「51.データベース・検索系」

 


 もっと先生の研究・研究室を見てみよう
研究室メンバーとEVを囲んで。EVから建物側へ給電しています。
研究室メンバーとEVを囲んで。EVから建物側へ給電しています。
 先輩にはこんな人がいる ~就職

◆主な業種

 

(1)コンピュータ、情報通信機器

(2)ソフトウエア、情報システム開発

(3)通信

 

◆主な職種

 

(1)システムエンジニア

(2)設計・開発

(3)保守・メインテナンス・維持管理、運用・システムアドミニストレータ・サービスエンジニア

 

◆学んだことはどう生きる?

 

我々の研究室では、サーバを中心とした情報システムを自分たちの手で構築し、運用しています。特に、研究を通じてデータベースの構築と運用について実践的に取り組んでいます。そして、いろいろなデータを自分たちで収集、解析し、可視化します。そのためのシステムをプログラミング開発します。その経験を活かして、情報システム関連企業や製造業および情報通信産業に従事する卒業生が多いです。

 

 先生の学部・学科は?

大学院では、情報学と環境学の融合分野の研究に取り組むことができます。学部では、情報学分野について幅広い領域を学ぶことができます。例えば、アルゴリズムのような基礎的な学問だけでなく、人工知能、情報セキュリティ、自然言語処理、データベースなど、ソフトウェアに関する多様な科目を選択できます。また、プログラミング教育が充実しています。

 

 先生に一問一答

Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?

情報学

 

Q2.一番聴いている音楽アーティストは?

Queen。特に『Don’t Stop Me Now』。

 

Q3.感動した映画は?印象に残っている映画は?

『スター・ウォーズ』

 

Q4.熱中したゲームは?

『三国志』