【社会学】

医療サービス

最善の努力をし、“最善”の限界を知ること

久保真人先生

 

同志社大学

政策学部 政策学科(総合政策科学研究科 総合政策科学専攻)

 

 出会いの一冊

こころの処方箋 

河合隼雄(新潮文庫)

「こうでなければならない」と思い込むことの危うさと、「こうでもよい」と考えることの大切さを、わかりやすく解き明かしてくれています。

 


 こんな研究で世界を変えよう!

最善の努力をし、“最善”の限界を知ること

耐え難い不条理や後悔の念がわき起こる

ある看護師長さんに、スタッフのサポートで心がけていることについてたずねた時のことです。彼女は、スタッフが担当していた患者さんが亡くなった時のことを話してくれました。この看護師長さんの担当は血液がんの病棟で、疾病の性質上、病院で亡くなる患者さんの中に幼い子どもや若い人が少なくない状況でした。

 

ケアしていた患者さんが亡くなった時、とりわけ人生の入り口でこの世を去っていかざるを得なかった患者さんに対しては、耐え難い不条理とともに、もっとしてあげられることがあったのではないかという思いが、繰り返しわき起こってくるそうです。

 

精一杯良いケアができれば、医療従事者も達成感を感じて

 

そのような時、担当していたスタッフに「精一杯良いケアをしてあげていた」ということを伝え、回復して退院していく患者さんにも、不幸にして回復することなく亡くなってしまった患者さんにも、最後の瞬間まで良いケアができていれば、看護師は同じだけ達成感を感じて良いという話をしてあげるとのことでした。

 

最善の努力をすることと“最善”の限界を理解すること、この看護師長さんの話を聞いたとき、これがヒューマンサービスの本質だと直感しました。これ以後、人が人に職業として関わることの危うさとスキルについて研究してきました。製造業からサービス、モノからヒトへと働くことの対象が大きく変化してきている今こそ、取り組む価値のある研究だと思っています。

 

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保健、福祉を担っていくヒューマンサービス従事者の働きがいと、メンタルヘルスの向上に寄与できると思っています。

 


 先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「医療のサービス産業化、女性医師増加の中医師の働き方の課題と改善策についての研究」

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