【公法学】

ポピュリズム立憲主義

立憲主義の政治=善、ポピュリズム=悪と決めつけてよいのか

木下智史先生

 

関西大学

法学部 法学政治学科(法務研究科 法曹養成専攻)

 

 出会いの一冊

憲法と日本人 1949-64年 改憲をめぐる「15年」の攻防

NHKスペシャル取材班(朝日新聞出版)

憲法というと自分たちからは縁遠いものと思われがちですが、実は、日本においては常に憲法が「改憲」問題という形で論じられ続けてきました。改憲問題の発端と歴史的経緯を知ることで、日本の政治の流れとともに、「憲法」とは何のためにあるのかも考えることができると思います。

 


 こんな研究で世界を変えよう!

立憲主義の政治=善、ポピュリズム=悪と決めつけてよいのか

人々の不安を政治利用するポピュリズム

最近、世界の国々では、過激な言葉で他国の人々の排除を主張したり、自分に敵対する人々を口汚くののしったりして、人気を集めている政治家が増えているように感じませんか。人々の感情や不安をうまく利用して高い人気を得た政治家による政治は、「ポピュリズム」と呼ばれます。

 

ところで、学校の授業で、「立憲主義」という言葉を習ったことはありませんか。「立憲主義」とは憲法に基づく政治という意味です。立憲主義とポピュリズムは対立するものと見られがちです。でも、単純に、立憲主義=善、ポピュリズム=悪と決め付けて良いのでしょうか。

 

憲法で人々の自由を縛る

 

人々の考えに基づく政治を制限しようとする「憲法」のほうには一体どのような価値があるのでしょうか。憲法はもともと多数の人々が誤った決定をするのを避けるために定められたのだとか、多数によっても侵してはならない権利を定めたのだという回答がなされてきました。

 

でも、皆さんは納得できますか。これらは人々の考えを「誤っている」とか「人権侵害的だ」としてとらえる、エリート主義の臭いがします。

 

立憲主義と多数意見を調和させる

 

私たちが今研究している「ポピュリズム立憲主義」とは、立憲主義と人々の意見に基づく政治を調和するものとしてとらえる考え方です。

 

この研究を通じて、「憲法」とはなんのために定められたのかという、わかったようでわからなかった問いに、もう少し明快に答えることができるようになるのではないかと考えています。

 

アメリカ合衆国 最高裁判所
アメリカ合衆国 最高裁判所
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「ポピュリズム憲法学と立憲主義に関する総合的研究」

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