【分子生物学】

DNAの1分子レベルの構造を解明し、創薬・医療に貢献!

桂進司先生

 

群馬大学

理工学部 環境創生理工学科 環境エネルギーコース(理工学府 理工学専攻)

 

 どんなことを研究していますか?

DNAは遺伝子の本体であり、生命の設計図そのものです。2本のDNAのらせん状の構造が発見されて以来、最近では個々の遺伝子・タンパク質が個体の形成・多様性にどう役割を果たしているのか、明らかになりつつあります。

 

しかし、そこで得られている情報は多くの分子の平均的な挙動です。個々の分子の本当の挙動や反応の過程がどのようなものなのか、必ずしも明らかにはなっておらず、明らかにするためには、1分子のレベルでの観察・解析が必要です。こうした分子生物学という学問の現状を切り拓くべく、DNAの1分子の形や位置を観察し、一つ一つの分子の応答が解析できる技術の開発を行っています。

 

DNA分子の反応を高感度に観察する方法を開発

 

ただし、それには特有の難しさもあります。DNAのような長いひも状分子は、自然状態では自発的に凝縮してしまうのです。長い状態のままDNA分子上で生じている反応を可視化するためには、DNA分子の形態を制御することが必要です。そのために、マイクロ流路という、非常に小さな基板上に微細流路を集積した器具を用いました。

 

この微細流路の壁面にDNA分子が凝縮しないように片端を固定し、電界・磁界などでDNA分子の形態を制御しながら、生化学反応を高感度に観察する方法を開発しました。DNAの1分子観察は、これまで検出できなかった変化が検出できるようになるため、創薬・医療を含めた幅広い分野に影響を与えると考えています。

 

研究室でのディスカッションの様子
研究室でのディスカッションの様子
 この分野はどこで学べる?

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7.生物・バイオ」の「21.分子生物学・細胞生物学・発生生物学、生化学(生理・行動・構造等 基礎生物学も含む)」

 


 学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?

 

●主な業種は→医薬・食品・設備

●主な職種は→開発・研究・施工管理

 

分野はどう活かされる?

 

高感度、1分子レベルで分子の振る舞いを観察する研究を行っていた学生が、製薬会社の研究所で研究に従事しています。

 

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河原でのバーベキュー
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 興味がわいたら~先生おすすめ本

くり返し聞きたい分子生物学講座

坂口謙吾(羊土社)

「平安時代にあなたの祖先は800兆人?」「どうして親は2人いるのか?」。DNAの構造などの基本的な知識から始まり、生命現象の基礎となるDNAの複製、修復、細胞の分裂、さらに老化などの新しいトピックを含め、幅広い分野を扱っている。難しい分野を網羅している割には、高校生でも読めるような平易な表現で記述されているので、お勧めしたい。

 



自滅する人類 分子生物学者が警告する100年後の地球

坂口謙吾(日刊工業新聞社)

人類滅亡は、人類の異常繁殖にあると言う。生き物の誕生と滅亡のメカニズム、カンブリア紀以降の生き物の進化、人類の文明が引き起こした環境破壊を解説し、いかに滅亡の危機から脱するか提言する。現在、大きな問題になっている地球環境問題を分子生物学に視点から見ており、高校生に新たな視点を与えることが期待できる。