Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
法学
最先端研究を訪ねて
【神経生理学・神経科学一般】
脳の機能
霊長類の脳に遺伝子を搭載したウイルスを直接投与、精神・神経疾患の解明に挑む
高田昌彦先生
京都大学
霊長類研究所
◆着想のきっかけは何ですか
私は、運動機能や認知機能といった脳の高度な機能について研究しています。サルなどのヒトに近い霊長類で、脳の神経細胞の遺伝子を改変したモデル動物を使って、脳科学研究を行うことは、大きな意義があります。しかし、マウスやラットで利用しているような遺伝子工学的手法を、サルに応用することには様々な困難があります。
そこで、神経細胞に感染するウイルスに、目的とする遺伝子を搭載して、サルの脳に直接投与するという新しい方法を考案しました。この方法を用いると、研究対象とする神経細胞や神経回路を取り除いたり、その活動を操作したりすることが可能になります。それによって、精神・神経疾患の病態を解明し、新たな治療法を開発できるのでないかと考えました。
◆どんなことがわかりましたか
大脳皮質の前頭葉にある運動野と、高度な運動調節に関係している大脳基底核をつなぐ神経回路が、手や眼球の運動調節に関係していることを明らかにしました。また、代表的な大脳基底核疾患である、パーキンソン病に対する新たな遺伝子治療として、責任神経細胞の細胞死を防御するようなアプローチを提案しました。
◆その研究が進むと何が良いでしょう
運動機能、認知機能、さらには精神活動など、脳の高度な機能を解明できるだけでなく、精神・神経疾患の病態を探究し、新しい治療法を開発することが可能になります。その場合に、マウスやラットと比べて、ヒトに近い霊長類を使用して研究を進めることは、将来のヒトへの臨床応用を考えた場合に、その意義は大きいと思います。
ざっくりですが、人類の健康と福祉に貢献したい!
私は、高校時代(少なくとも現役受験まで)は文科系志望でしたが、大学では理科系に転じて、歯学部に進みました。しかしながら、入学当初から歯科医師になるつもりはなく、結果的に基礎医学の研究者の道を選択することになりました。
基本的には、ここで発表したようなテーマと類似したものを研究しています。
◆主な業種
・食品・食料品・飲料品/飼料・肥料
・官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆学んだことはどう生きる?
多くは研究者としてアカデミアの世界に残るか、研究経験を活かして上記のような業種で活躍しています。
月並みですが、脳は人体に残された最後のブラックボックスです。脳を知ることはヒトを知ること、己を知ること、こころを理解し社会を知ることにつながります。
自分が興味を持っている脳機能(例えば、運動調節や意思決定)や脳疾患(例えば、パーキンソン病や認知症)についてインターネット等で検索し、現在までどのようなことが明らかになっているかを整理し、今後の研究によって何を明らかにする必要があるか(例えば、脳機能のメカニズムや脳疾患の治療法)を自分なりに考えてみる。
職業としての学問
マックス・ウェーバー:著 尾高邦雄:訳(岩波文庫)
学問と政策の峻別を説いています。内容はいささか古い(背景は第一次世界大戦後のドイツ)ですが、学問とは、研究とは、研究者とはどうあるべきかについて、わかりやすく説明しています。
https://www.amazon.co.jp/dp/4003420950
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?
法学
Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ?
カナダ。5年間留学していたので。
Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?
世論調査